割高なバイオエタノールのコスト
国内で木質系バイオマスからバイオエタノールを製造するコストは1Lあたり80~100円といわれています。この数値だけ見ると、ガソリンに比べるとかなり安いような感じを受けますが、エタノールの1Lあたりの熱量はガソリンの7割程度ですので、この差を埋めるにはエタノールの量を3割増しにするひつようがあり、コストは114~143円になります。
さらに、現在の法律では、バイオエタノールとガソリンを混合して販売する場合、ガソリンと同額のガソリン税が課税されるので、最終的な価格は168~197円にまで上昇してしまいます。
このようなコスト構造では国産のバイオエタノールを利用することは難しく、海外からの安価なものを輸入せざるを得ませんが、それでは日本のエネルギーの自給率の改善にはつながりません。そもそも、熱量の少ないバイオエタノールを大量の輸送燃料を使って輸入しているようでは、非効率です。
したがって、国産バイオエタノールを普及させるためには、廃棄物処理との組み合わせ、ガソリン税の免除措置、技術革新などが欠かせません。
ごみから生まれるバイオエタノール
アメリカやブラジル、オーストラリアなどの広大な農地を有している国では、バイオエタノールの原料だけのためにサトウキビやトウモロコシを非常に低コストで栽培しています。
国土が狭い日本では、これらの国に対抗して栽培しても供給量、コスト面でも太刀打ちできません。そこで注目されているのが、家庭や加工工場から出された生ごみや、規格外となってしまった農作物など、廃棄物や副産物を原料としたバイオエタノールです。
バイオエタノールの生産事業者は、ごみ処理の収入とバイオエタノールの販売収入の双方を得ることができるというメリットもあります。ただし、不純物の選別などの問題や残飯は既に飼料として有効活用されているなど、他事業者との競合などの課題もあります。
セルロース系原料のバイオエタノール
デンプン質原料や糖質原料をなどを使ったバイオエタノールの生産は、それらの農作物を食料用、飼料用にも使われるので、今後難しくなる可能性もあります。特に異常気象による干ばつなどが増え続けている近年の気候を考えれば、代替策を講じなければならないでしょう。
そこで注目されているのは、肥料をほとんど必要とせずに乾燥にも強く、なおかつ食用ではないために供給面でも安心なスイッチグラス(イネ科)やバガス(サトウキビから砂糖を搾った後の残りかす)、あるいは廃材等のセルロース系原料を分解してバイオエタノールを作る方法です。
セルロース系原料は、成長が早く、劣悪な環境でも育てることができるので、これまでは農作物の栽培には向いていないとして放置されている乾燥地や山間の耕作不適地などで栽培することも可能となります。
ただし、セルロース系原料を分解してバイオエタノールを作るには現段階ではコスト面に難があり、普及のためには更なる技術開発による効率化とコストダウンが必要となります。
バイオエタノールに適している農作物は?
現在、バイオエタノールの原料になっているのは農作物です。製造に適した農作物には、デンプン質原料と糖質原料の2つのタイプがあります。
デンプン質原料の代表はトウモロコシ、サツマイモ、ジャガイモ、大麦、小麦などです。これらはバイオエタノールの製造にたいへん適している一方で、主食となる作物であり、また家畜の飼料としても使われていることから、競合する点が難点です。つまり同じパイを食料用とバイオエタノール用とで取り合っているのです。
現在の小麦やトウモロコシの価格の急激な高騰は、この点とも大きく関係しています。
糖質原料はサトウキビ、甜菜(砂糖大根)など、糖質を豊富に含み砂糖の原料となる食物のことをさします。ほかの植物がデンプン質をいったん糖化する必要があるのに対し、糖質原料はそのまま発酵させてエタノールにして蒸留できますので、非常に効率的です。
バイオ燃料の生産で世界の食糧価格が75%上昇
世界銀行の農業エコノミスト、ドン・ミッチェル氏は、食糧を原料にしたバイオ燃料の生産によって世界の食糧価格が75%上昇したという報告書を作成していたことが明らかになりました。
影響は少ないとしてバイオ燃料の増産を目標としているアメリカ政府とは全く反対の結果となったため、ブッシュ政権に配慮して公表が見送られたとの憶測も呼んでいますが、世界銀行はこれを否定しています。
報告書は草案で、4月に世銀が公表した食糧危機とバイオ燃料に関する報告書の参考となった研究結果の一つで、世銀公認の数値でもないと説明。
ただし、バイオ燃料は食糧価格に「重大な影響を与えている」とする世銀の見解を決定づけたとみられ、世界銀行は先日の洞爺湖サミットでも、アメリカ政府などが導入するバイオ燃料向け補助金の撤廃を強く求めました。
バイオエタノールの長所と短所
近年、ガソリンの代替燃料として注目されているバイオエタノールとは、サトウキビ、大麦、トウモロコシ、大豆といった食物に含まれるグルコースなどの成分を発酵させて作ったものです。
これをそのまま燃料として利用する方法のほかにも、バイオエタノールを添加物として利用することもできます。これには、ガソリンに直接混ぜる方法と、バイオエタノールを加工した添加物ETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)をガソリンに混ぜる方法です。ETBE混合ガソリンは2007年より、首都圏50箇所のガタンドで販売がスタートしています。
どちらの燃料も、二酸化炭素の排出削減効果が期待できますが、水への親和性が高いために、漏洩による水質汚染の問題があり、スタンドでは徹底した清掃と水質チェックが欠かせません。
また、自動車から排出される窒素酸化物や炭化水素類などが、紫外線を受けて光化学反応を起こすことで酸性物質が生成される「光化学オキシダント」の原因ともなります。
さらにアルミニウムに対する腐食性やエタノールを混合することによる排ガス中の窒素酸化物(NOx)の増加という問題も指摘されています。


