バイオ燃料のメリットと問題点

バイオ燃料とは、生物資源を原料として製造される燃料のことです。主として現在は、ガソリンへの混合利用を目的としたバイオエタノールと代替燃料としてバイオディーゼル燃料(BDF)の2種類があります。バイオ燃料は、原料となる植物が光合成により二酸化炭素を吸収するため、燃焼させても二酸化炭素は増加しないとみなされる、いわゆる「カーボンニュートラル」の燃料です。そのため、各国は温室効果ガスの排出削減の手段としてバイオ燃料の導入を進めています。

環境に優しい燃料

また、バイオ燃料の導入促進には農業振興という側面もあります。バイオ燃料を導入すると、原料の生産農家にとっては農作物の新たな需要が生まれ、取引価格が上昇または維持されることが期待されます。さらに、自国の農業振興を図るため、バイオ燃料の導入を進めている国の多くは、自国で生産される作物を活用してバイオ燃料を製造することを計画しています。

そのためエネルギーの自給率を向上させる一助ともなります。このようにバイオ燃料の導入には「温室効果ガスの排出削減」、「農業振興」、「エネルギー自給率向上」といったメリットが期待されています。

バイオマスを原料に製造される燃料として、世界的に導入が進んでいるバイオ燃料ですが、課題がないわけではありません。その1つが食料と燃料との競合です。バイオ燃料の主たる原料は食用作物です。そのため、原料作物をバイオ燃料製造に使うか、食用に使うのかという競合が生じ、原料作物の価格は上昇していきます。近年のトウモロコシや大豆などの穀物価格の上昇はこれが関係しています。

原料作物価格の上昇は、バイオ燃料の製造コストを引き上げ、導入を阻害するだけではなく、食料品の価格上昇を招き、経済に悪影響を及ぼしかねません。この状況を改善するため、バイオエタノールでは、これまでは糖化させることが難しく、燃料に利用されていなかった、セルロース系の原料を利用する技術の実用化が進められており、バイオディーゼルではヤシの代替として非食用植物の利用が検討されています。

海外のバイオ燃料政策

EUは、温室効果ガス(以下GHG:Greenhouse Gasの略)の排出量を2008年~2012年の間に1990年比で8%削減することが京都議定書によって求められていますが、そのためには二酸化炭素の排出量において大きな割合を占めている輸送部門での削減が不可欠です。それを可能にする唯一の燃料がバイオ燃料とされています。

実際にバイオ燃料の生産振興行うにあたって、欧州委員会はバイオ燃料の生産に関する法的な枠組みを作成しましたが、その取り組みへの足並みは加盟国の間でばらつきがあり、目標を大きく下回るペースとなっていました。そのため、欧州理事会において加盟国に対するバイオ燃料の利用目標を義務付ける合意がなされましたが、その後の食料価格の高騰などの影響もあり、具体的な内容は2008年末に加盟国間で妥協合意するまでの間、激しいやり取りが行われました。

EUでは政策面に加えて、バイオ燃料需給を取り巻く状況も厳しくなっており、加盟国の間では税制優遇措置の段階的な撤廃、安価な燃料の輸入増加など、EUにおける生産の環境は楽観できません。EUのバイオ燃料政策の目的は、温室効果ガスの削減、エネルギーの安全保障、農業・農村の開発・促進の3つの面がありますが、それぞれが占めるウェートは加盟国により大きく異なり、フランスでは、農村部におけるバイオ燃料の生産を通じた農業・農村の発展に念頭において政策が進められています。